< 2004年12月 >
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チェスの例

コンピュータは人間を越えるかという問題において良く例に出されるのはチェ スの例です。

これは1997年に行なわれたディープ・ブルーとカスパロフ氏のチェスの試合を 知っている人が多いためでしょう。この試合においてカスパロフ氏はディープ・ ブルーに破れました。

これをもってコンピュータは人間を越えたと言えるのでしょうか?

当時の記事をいくつか検索すると越えたと言う人と越えていないと言う人の両 者いる事がすぐにわかります。そして両者ともその結論は論理的でない場合が 多いように見えます。

コンピュータは人間を越えるはずがないから越えていない理由を捜していたり、 コンピュータは人間を越えるはずなので越えたとしていたりしています。

まずわたし立場を表明すれば、わたしの本当の目的はコンピュータは人間を越 えるかを知りたいのではないのでどちらでも良いという立場です。結論がどち らかでなければならないという立場ではありません。結果的にどちらかになっ ても良いです。その先を考えるためにこの思考が良い例であると思うので利用 しているだけです。

まず論理的に考えてみましょう。ここでは論理的とは式の成立が可能である事 を意味するとしておきます。

「チェスの試合でコンピュータが人間に勝った事はコンピュータが人間を越え た事を意味する」(命題1)という論理命題は式にすると以下のようになります。

「チェスの試合でコンピュータが人間に勝った = コンピュータが人間を越えた」(1の式)

この命題は成立するでしょうか。

この命題が成立すると以下の文が正しい事になります。

「コンピュータが人間を越えるとはチェスの試合でコンピュータが人間に勝つ事である」(命題2)

正しいですか?

では以下の式は正しいですか?

「チェスの試合でコンピュータが人間に勝った ⊂ コンピュータが人間を越え た」(⊂は左が右に含まれるの意味)

これが成立すると以下の文が正しい事になります。

「コンピュータが人間を越えるとはチェスの試合でコンピュータが人間に勝つ事も含む」(命題3)

正しいですか?

わたしは命題2も命題3も誤りのように感じます。なぜ誤りなのかと言えば、チェ スの試合で勝ったからといって人間を越えたとはまだ言えないからです。また チェスの試合で勝てなくても人間を越える事はできます。(越えるという語の意 味に関してはここでは曖昧な事を注意せよ)。命題2も命題3も絶対的な真ではな い事は確かです。

であれば命題1も誤りでしょうか。しかし全命題は利用を限定すれば正しいよう に感じます。利用の限定とはたとえば、命題2の場合はチェスに関して話してい る時前提に暗黙に「チェスで」という語が付く場合は正でしょう。

「コンピュータが(チェスで)人間を越えるとはチェスの試合でコンピュータが 人間に勝つ事である」(命題2の変形)

これは明らかすぎる場合は語が省略されるという習慣に過ぎません。

1の式と命題2の意味が違うようです。これは式の立て方がおかしいのでしょう か?そもそも式にする事がおかしいのでしょうか。

式にした瞬間に別の意味になっている、と感じるのが普通の感覚だと思います。

では命題1を語った時わたしはその命題の意味を理解していなかったのでしょう か。わたしはわたしの語った意味などまったく知らなかったのでしょうか。ま たこの命題は式にできないのでしょうか。もしくは本当は言語化できない思考 でしょうか。

どこかに矛盾があるようです。さてどこでしょうか。

Author: sakito Category: /diary/2004 Permalink: Permalink
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