< 2004年11月 >
CW
(45)  1 2 3 4 5 6
(46) 7 8 910111213
(47)14151617181920
(48)21222324252627
(49)282930    
他のブログ等: 「技術的生存報告記」 「sakito@twitter」 「はてなダイアリー」 「はてな Emacs グループ」

権力とは何か

権力はどこでいつ発生するのでしょうか。それにはまず「権力」とはどういった意 味かを定義しないと議論にならないでしょう。

ぼくは「権力」という単語を「他人の運命を変える力」と定義しています。と いってもそれほど大きな物を考えているわけではありません。例えば、Webサイ トを開設した場合、そこに自分以外の閲覧者が一人でもいればその人の時間を 数分でも奪った事になります。これは十分他人の運命を変えています。

大きな権力というのはそれだけ多くの他人の運命を変える力となります。

上記の意味で権力という単語を利用した場合、例えばソフトウェアを公開し、 それに利用者がいれば、開発者は権力を保持した事になります。そう、ソフト ウェア開発者は利用者にとっての権力者なのです。それもソフトウェアによっ ては比較的大きな権力を持つ可能性があります。

たとえばgcc。gccの権力は大きいです。もしgccが仕様を変更してgccに対応し ているソースが変更をしなければいけない事になった場合、それを利用してい る人への影響はどれほどでしょうか。

ありえないでしょうが、gccはある特定の物を完全に排除する事も可能です。 「他人の運命を変える力」があります。

gccほど大きくなくても、ソフトウェアを公開配布し、それに利用者がいる場合、 多かれ少なかれ権力を保持する事になってしまいます。それは拒否できません。

権力がなければ利用者を幸福にする事ができません。より多くの人を幸福にす るのもまた権力なのです。権力は他人を不幸にするだけではないのです。

他人を本当に幸福にしたければ、権力の保持を躊躇できません。また自分を幸 福にしたい場合も権力を持つ事が良い事が多いでしょう。

権力はどうやれば人に幸福をもたらせるのでしょうか。まずなぜ権力が人に不 幸をもたらすのかを考える必要があるかもしれません。

権力が不幸をもたらすのは、権力者が自分が権力を保持している事に無自覚で あったり、権力の大きさを認識していなかったり、権力の意味を知らない場合 に発生します。

権力者は自分が権力者であり、自分の権力がどこまでおよんでしまうのかを注 意しなければいけません。自分の権力がいかに他人の運命を翻弄してしまうか を自覚すべきです。

この時さらに気づくべきは、権力の根源が利用者にあるという事です。利用者 がまったくいない場合には権力はなくなります。そこには「他人」がいないか らです

自分が権力者である自覚、その権力の根源は他人にある事の自覚。そうした諸々 の事が自覚できて始めて他人を幸福にでき、また自分を幸福にする事ができる のです。他人と自分を幸福にしたければ、権力の行使を躊躇すべきではありま せん。

権力というのはそういう物です。

たとえ権力の自覚があっても、権力は腐敗します。腐敗を防止する対策をすべ きです。また腐敗してしまった場合、利用者が権力者を権力の座から追い落す 方法を権力者自身が用意すべきです。

ソフトウェアの場合は、開発物をこの世から完全に消す方法はないので、代替 の開発物を開発する事でしか権力をうばう方法が現在は考えられていないよう です。

たとえば、gccはGPLです。その権力を受ける側が権力に対抗するすべを自ら用 意しています。権力者から権力をうばう方法を権力者自身が公開しているので す。GPLであれば、利用者がgccに不満があれば、別の実装が可能になります。 別の実装の方がより利用者が増えれば、gccの権力はなくなります。

GPLだけでなく、BSDライセンスにしてもソフトウェアライセンスとはそういっ た部分を考慮している場合が多いのです。

権力の腐敗を防止する良い方法は、権力を分散可能にする事と、権力の影響範 囲を明確に限定する事です。

権力を分散するとは、一人もしくは一つの物が他人の運命を変える可能性を少 なくするという事です。共同にするとか実装を複数にするとか方法はいろいろ あります。一点注意すべきは権力を分散しすぎると今度はまったく力が失しな われるという事です。その点を注意すれば問題は発生しずらくなります。

権力の影響範囲を明確にするとはソフトウェアライセンスのように、どこまで が許可される範囲かを示す事で可能です。この時極力曖昧性を排除する必要が あります。

権力を拒否する事は不可能です。隠者になろうとも、隠者になった事その物が 他人に影響を及ぼします。人がその場にいないという事さえも、影響になるの です。死してなお人は権力を保持します。

であればその権力を他人がそして自分がより幸福になる方向に利用した方が良 いのではないでしょうか。

これがぼくの権力の考え方です。

重要とは弱点と同義

会社でもユーザーグループでもある組織に属している場合、その組織で一番重 要な人の名前を上てください。その人がその組織での弱点です。

組織に属していないなら、時計とかエンジンとかでも同じです。一番重要と思 う場所が一番の弱点です。

これに無自覚な人が多いような気がします。

権力を保持した場合、権力者が最大の弱点になります。弱点は克服されるべき です。しかし弱点なきシステムは存在しません。であればどうすべきでしょう か。

弱点の分散は一つの手です。同じ意味で言えば重要さの分散は良い手です。

また、弱点に自分が弱点である事を自覚させるのも一つの手です。

弱点は自分が重要である事には気づく場合はよくありますが、弱点である事に 気づく事はまれです。なぜかと言えば、弱点は自分が見えない場合が多いから です。

弱点監視システムを用意する必要があるかもしれません。

問題は重要になれば重要になるほど、その重要な点はより強力な弱点となると いう事です。弱点に傷が付けばその弱点によって動作しているシステムが動作 不能になります。

重要になればなるほど弱くなるというのは注目すべき点です。また弱ければ弱 いほど重要であるという見方もできます。自然と弱い部品を傷つけないように より気をつける事になり、そうすると弱点がより重要になり、、、という悪循 環におちいる場合があります。

すくなともシステムの重要な点を挙げて、と問うたら数個の重要点が同時にで るぐらいでないとだめだと思います。その重要点に順位を付けるのが困難であ るぐらいで良いかもしれません。

自分がその組織で重要なのかもしれないと気がついたら、自分がその組織で弱 点にならない方法を考える義務が同時に発生したと思う必要があるという事を 自覚しておかないと危険かもしれません。

独り言とThinkingの違い

独り言は自閉的、Thinkingはより外部的。あまり違いがないので全部Thinking で行くのも手だ。

Author: sakito Category: /diary/2004 Permalink: Permalink
このエントリーをはてなブックマークする はてなブックマーク数 このエントリーをdel.icio.usに登録する このエントリーを Tumblr する このエントリーに Twitter 経由でコメントする
以下はゲストコメント可能です。名前とメールアドレスは任意の物を入力していただいてかまいません。
blog comments powered by Disqus

このページの先頭へ

copyright (CC-by) 1999-2024 sakito
Powered by pyblosxom. Theme: TheBuckmaker.