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ここには世界は人間の存在とは独立であり、絶対の真理がある、という事を主張しているわけです。またその世界に人間が関係する事は可能だが、世界の発展の仕方その物は変更できないわけです。単に発展を速める事ができるだけとも見えます。 | ここには世界は人間の存在とは独立であり、絶対の真理がある、という事を主張しているわけです。またその世界に人間が関係する事は可能だが、世界の発展の仕方その物は変更できないわけです。単に発展を速める事ができるだけとも見えます。この「自然に」という点に影響を受けた思想としてアナーキズム(無政府主義)が発生した事も事実です。政府があるから自然な発展が抑制されているのだ、という思想になったわけです。 |
概要
1770-1831
かつてぼくがかなり影響を受けていた哲学者。書籍は難解な物も多い。
入門書
著作
関連書籍
関連人物
ぼくの理解
ヘーゲルは「歴史」の概念(正確には青年ヘーゲル派の概念)がその後の思想にかなりの影響を与えた。特に社会主義思想や実存主義に影響が濃い。
ヘーゲルの「歴史」というのは、世界は常に発展し遅れて発展した物は劣り、発展が先の物はすぐれているという概念として理解される事がある。それがヘーゲルの思想として正確かどうかは別にしてそのように理解されたのは事実。
社会主義とは単純に説明すると、社会は発展すると資本主義から社会主義に移行する。発展をはやめるために革命をおこせば良い、という思想となります。
実存主義は単純に説明すると、この世界は歴史的に発展する、その中で人間はただ歴史の中で生きよ、という思想です。
どちらもヘーゲル的歴史(と理解されている物)を認めます。
構造主義やウィトゲンシュタインなど現代の思想ではこれを完全否定というか認識すらしません。
ヘーゲルは否定と発生、さらにその否定という発展を示しています。これは弁証法として知られます。ヘーゲルは世界がそうある、と書いているわけです(哲学とは世界がどうあるかの学問なので)。そしてそれは「自然に」発生する、という記述があります。これがヘーゲル的歴史概念として認識されています。
良く言うと、世界は倫理により常に良い方向に発展すると言えます。その発展を早める事もできるわです。逆に世界はほっといても「自然に」生成発展するわけです。
ここには世界は人間の存在とは独立であり、絶対の真理がある、という事を主張しているわけです。またその世界に人間が関係する事は可能だが、世界の発展の仕方その物は変更できないわけです。単に発展を速める事ができるだけとも見えます。この「自然に」という点に影響を受けた思想としてアナーキズム(無政府主義)が発生した事も事実です。政府があるから自然な発展が抑制されているのだ、という思想になったわけです。
ヘーゲルの哲学史においても古い哲学もしくは原始的哲学から近代的哲学へ発展するような記述があります。つきつめるとヘーゲル哲学その物が未完成である事の告白になると思うのですが、そうはヘーゲルは思ってない様子。
世界が必ず一定の方向に向かって発展するような思考で、これが進化論などにも影響を与えたり、経済学にも影響を与えた。また心理学においても影響を与えていて、人が発展する様子などで影響を与えた。
正直この歴史の見方は悪影響の方が目についたりする。なにせヒットラーだってこの歴史概念の影響受けてるしな。日本の経済政策もこの思想に影響受けてた。
ただ魅力的なのは人間にもこの概念が適用できて、今の自分より明日の自分将来の自分は今の自分より発展している、という幻想を信じる事ができるって点がある。この点が若くて無力な人には魅力的なのかも。
おそらくこのヘーゲル歴史概念は曲解なのだが、こう理解されて利用されて来ている、というのはわすれてはならないと思う。
参考サイト
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル - Wikipedia